『敵』
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全国公開中
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ⓒ1998 筒井康隆/新潮社 ⓒ2023 TEKINOMIKATA
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宣伝・配給:ハピネットファントム・スタジオ/ギークピクチュアズ
日本文学界最後の巨人・筒井康隆による老人文学の傑作『敵』に『桐島、部活やめるってよ』『騙し絵の牙』の吉田大八が挑む。
俳優歴 50 年を迎える長塚京三が、12 年ぶりに映画主演を務め、熟練のスタッフと俳優たちが紡ぐ、人生最期の「讃歌」。
第2回、熊谷駅前短編映画祭のゲスト審査員を発表します。現在、映画「敵」が絶賛公開中です。「敵」の監督である吉田大八監督にゲスト審査員としてご来場いただくことになりました。また、本映画祭ではゲスト審査員に関連する映画の上映も行うのですが、もちろん、今回は「敵」の上映を2月23日に、会場であるシネティアラ21にで上映いたします。詳しい上映スケジュールなどは後日発表いたします。
ゲスト審査員

吉田大八
映画監督
1963 年生まれ、鹿児島県出身。大学卒業後は CM ディレクターとして活動。数本の短編を経て、2007 年、『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』で長編映画デビュー。第 60 回カンヌ国際映画祭批評家週間部門に招待された。『桐島、部活やめるってよ』(12)で第 36 回日本アカデミー賞最優秀作品賞、最優秀監督賞受賞。『紙の月』(14)は第 27 回東京国際映画祭観客賞、最優秀女優賞受賞。『羊の木』(18)で第 22 回釜山国際映画祭キム・ジソク賞受賞。その他の作品に、『クヒオ大佐』(09)、『パーマネント野ばら』(10)、『美しい星』(17)、『騙し絵の牙』(21)がある。舞台に「ぬるい毒」(13/脚本・演出)、「クヒオ大佐の妻」(17/作・演出)、ドラマに「離婚なふたり」(19)など。
招待上映作品

渡辺儀助、77 歳。大学を辞して 10 年、フランス近代演劇史を専門とする元大学教授。20年前に妻・信子に先立たれ、都内の山の手にある実家の古民家で一人慎ましく暮らしている。講演や執筆で僅かな収入を得ながら、預貯金が後何年持つか、すなわち自身が後何年生きられるかを計算しながら、来るべき日に向かって日常は完璧に平和に過ぎていく。収入に見合わない長生きをするよりも、終わりを知ることで、生活にハリが出ると考えている。
毎日の料理を自分でつくり、晩酌を楽しむ。朝起きる時間、食事の内容、食材の買い出し、使う食器、お金の使い方、書斎に並ぶ書籍、文房具一つに至るまでこだわり、丹念に扱う。
麺類を好み、そばを好んで食す。たまに辛い冷麺を作り、お腹を壊して病院で辛く恥ずかしい思いもする。食後には豆を挽いて珈琲を飲む。食間に飲むことは稀である。使い切ることもできない量の贈答品の石鹸をトランクに溜め込み、物置に放置している。
親族や友人たちとは疎遠になったが、元教え子の椛島は儀助の家に来て傷んだ箇所の修理なども手伝ってくれるし、時に同じく元教え子の鷹司靖子を招いてディナーを振る舞う。
後輩が教えてくれたバー「夜間飛行」でデザイナーの湯島と酒を飲む。そこで出会ったフランス文学を専攻する大学生・菅井歩美に会うためでもある。
できるだけ健康でいるために食生活にこだわりを持ち、異性の前では傷つくことのないようになるだけ格好つけて振る舞い、密かな欲望を抱きつつも自制し、亡き妻を想い、人に迷惑をかけずに死ぬことへの考えを巡らせる。
遺言書も書いてある。もうやり残したことはない。
だがそんなある日、パソコンの画面に「敵がやって来る」と不穏なメッセージが流れてくる。
いつしかひとり言が増えた儀助の徹底した丁寧な暮らしにヒビが入り、意識が白濁し始める。やがて夢の中にも妻が頻繁に登場するようになり、日々の暮らしが夢なのか現実なのか分からなくなってくる。
「敵」とは何なのか。逃げるべきなのか。逃げることはできるのか。
自問しつつ、次第に儀助が誘われていく先にあったものは――。
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