第1回受賞作品

審査委員長のコメントは優秀賞の欄にて紹介しております。下の方にスクロールしてください。

グランプリ

駆け抜けたら、海。

審査員特別賞

網戸

俳優賞

橋龍さん (鳥も死にきれないよ)

松原怜香  (駆け抜けたら、海。)

観客賞

サカナとコーヒー

優秀賞

審査委員長 松崎まことのコメント付

『また、ライブハウスで』 監督 坂本幸基

「若者の夢」とそのサポーターを描いた好篇。
当映画祭の「第1回」オープニングにふさわしい、
「熊谷愛」に溢れた作品でした。

『古写真』 監督 中村好伸

ショートJホラーとして“6分”という短い尺の中で、
どれだけ恐怖を感じさせられるかを追求している。
きちんと「怖かった」です。

『網戸』 中江伶乙

身近ながら普段は誰も気にしていない
“網戸”をギミックに、男と女の感情の行き来を丁寧に描く。
メインタイトルの素っ気なさも、短編として的確でした。

『クチビルのはしっこ』監督 ワタナベカズキ

コメディ的な要素も入れながら展開する、サスペンスホラー。
ループものとしてオチのつけ方まで考え抜かれている。
女子高生も先生側も、適材適所なキャスティングでした。

『super sunset』 監督 沖田かおり

強い決意を持って故郷を旅立った少女が、
帰省時の小さな“再会”によって元気を取り戻す物語。
コロナ期を経たからこそ、人生に必要な“励まし”がしみ入りました。

『独りになるまで』 監督 加藤大志

タイトルも含めて、6分間に大きな罠が仕掛けられている。
ドキュメンタリーというかホームムービーっぽい撮り方も効果的。
鑑賞後に、ヘヴィーな衝撃が残りました。

『サカナとコーヒー』 監督 サヤマサスケ

“監視”すること・されることの不自由さやそこから生じる恐怖や絶望を、
敢えてその“不自由”な撮影スタイルを活かして描き出す。
一瞬イミフだったタイトルも含めて、最終的に非常に効果的に響きました。

『つくもさん』 監督 鹿野 洋平

落語的なキャラクターやそのやり取りで、
14分を過不足なく笑わせてくれる、1シチュエーションもの。
主演(?)の渡部さんの表情だけでも観る価値がありました。

『Perfect・Nervous』 監督 佐野大

病院で出会った2人の少女を主人公に、「生きていく」ことの意味を問う。
2人を演じる俳優がそれぞれに好演だが、
特に『ベイビーわるきゅーれ』シリーズの印象が強い高石あかりの別の顔を引き出しているのに感心しました。

『あなたが言うなら』 監督 八木橋ゆり

ラジオ局をメインの舞台に、そこから電話で繋がった相手とその背景について
徐々に謎が解けていくという、よく考えられた構成と画面展開。
「あなたが言うなら」というタイトルのダブルミーニング的な含みに唸らされました。

『海辺のこころ』 監督 木寺智裕

11分の多くが、登場人物の喋る様のアップショットで展開。
戦後80年に間もなくなろうとしている現在の時制でも、
普遍的であるべき「反戦」の志がきっちりと伝わってきました。


『ミヌとりえ』 監督 全辰隆

日韓関係の歴史と現在を背景に
若い男女の穏やかな物語ながら、実は骨太な一篇。
同様な骨子の長編作品に、是非取り組んで欲しいと思いました。


『君の僕の詩』 監督 岡本 崇

ああ喋り過ぎだよ、セリフ多過ぎだよと思わせながら、
最後は、何よりも大切な“歌”に、涙を絞られました。
今回最も感動した作品です。


『鳥も死にきれないよ』 監督 山村 もみ夫。

笑わすだけではない、山村もみ夫ワールドがあることを、知らしめてくれました。
地の利・人の利を活かした作品としても、素晴らしかったです。


『カレーの匂いがした』 監督 門田樹

東京タワーとスマホという大小の小道具を効果的に使って描かれる、淡い恋物語。
この監督の新たなる一面を見た思いがしました。


『駆け抜けたら、海。』 監督 十川雅司

人が人を好きになることの、切なさ、素晴らしさ、そして残酷さまで
“映画的”な技法を使って、見事に描出。
俳優2人も、傑出したコンビネーションでした。

『深骨』 監督 節田朋一郎

知られざる“骨格標本”の世界をモチーフに、
学校社会・人間社会との繋がりを、よくぞここまで紡いだなと。
これは正に、映画の醍醐味でした。